おしらせ


2009/10/13

LEITZ WETZLAR SUMMICRON-R 50mm/F2 Type-I (1-cam)

ズミクロン (ライカRマウント) 50mm/F2 タイプI (初期型1-cam)
重量290g フィルター径43.5mm 最短撮影距離50cm

シャドーの描写に定評のあるライツの傑作 
 ズミクロンが届いた。手に取るとずしりと重く、しっかりとした造りだ。このレンズはかつて圧倒的なシャープネスと優れた描写で世界の標準レンズの頂点を極めたライツの傑作だ。前群を分離した空気レンズと呼ばれる設計を導入したり、ランタン系の新しいガラス素材を使い屈折率を向上させるなど、新技術を積極的に採用することにより、当時のレンズの基準性能を大幅に引き上げたことで知られている。シャドーの微妙な階調変化を丁寧に表現し、苦悩に悶絶する人間の姿や内なる二面性など、芸術的な写真作品を多く生み出してきた。今回はライカ初の一眼レフカメラLeicaflex用に設計しなおされたライカRマウント用のSummicron-R 50mm/F2を入手した。製造台帳によると、このレンズが最初にされたのは1962年のようである。ライツの場合、Summicronという名は開放絞りがF2のレンズに対してつけられており、35mmや90mmの製品も存在している。フィルター枠の部分がおちょぼ口のようにすぼんだ前期型(Type-I)、中でも初期の1-camタイプの描写を好む愛好家が多いという。Type-Iには製造時期により、初期の1-camから3-cam, そして最後期のR-camまである。これらにはコーティングの色の濃さに若干の差異があるようだ。この差が描写にどれほど効くのかは明らかではない。オールドレンズ界には初期型が好まれるという変な法則がある。MC FLEKTOGON 35mm/F2.4に対してもそうであったが、いったいどうしてなのだろうか。真相は分からないが、製造時期の長い製品の場合には初期型のほうが活躍する機会が多かったのは確かである。さらに、リリースされたばかりの頃の強いインパクトの記憶が人々の心に刻まれ、特別な存在になってしまうのかもしれない。「初期型には開発者の魂が宿る」という魅力的な説もあるが根拠はない。

左:フード無し状態 中央:フードを装着時 右:フードを反転収納時
入手の経緯
 2009年7月にeBayにて韓国の個人業者が出品していたものを落札した。商品の解説は「カビ、傷、クモリなし」とあるのみ。写真を見る限りは美品レベルに見えたので、いつものようにカウントダウンしながら入札締め切りギリギリ前に325㌦を投入し、312㌦で落札した。本品のeBay相場は300㌦前後のようだ。
 落札から2週間が経ち、なかなか届かないなぁと思っていたら、eBayの落札品リストにある発送完了マークが点灯した。おぃおぃ今頃発送かよ・・・。そして、それから更に1週間が経ち、やっと商品が届いた。ガラス面は綺麗でクモリ・カビ・傷は見当たらない。鏡胴の傷も極僅かのいい品だ。純正フードと落とし込み式フィルターは付いていたが、被せ式のフロントキャップとリアキャップが無い。まぁこれは代用品で何とかしましょう。ところでこの韓国の出品者はいつまで経っても私に落札者評価をくれない。いったい何か恨みでもあるのだろうか・・・。

純正外のパーツを使う
ズミクロンのフィルター径は43.5mmと特殊である。これはフード、保護フィルター、レンズキャンプなど純正品以外のパーツを使わせないためである。ユーザーには不便でしかない。八仙堂のステップアップリング43.5→49mmなどを用いてフィルター径を変更しておけば、汎用アクセサリーが使用できる。いろいろ似合うフードを探してみたが、私のお勧めはPETRIの被せ式レンズフード(内径51mm)だ。金属製なのでレンズの重厚感を損ねることはない。純正フードを着けたときよりもレンズ全体がコンパクトになる。
八仙堂の43.5→49mmステップアップリングを用いて、PETRIの被せ式フードとkenkoの保護フィルターを取り付けた。PETRIフードはなかなか良く似合っている
ペトリのフードはヤフオクでの中古品が1000円程度で手に入る。八仙堂のステップアップリングも500円と安価だ。純正のUV保護フィルターは古い品なので、光の透過率が高い現代のフィルターが使用できるのはありがたい。

LeicaR - EOS Mount Adapter
ライカRマウントはフランジバックの規格が47mmと長いため、M42マウントのレンズと同様にマウントアダプターを介して多くのカメラにつけることができる。交換マウントを用いれば、なんとNikonでも補正レンズなしで使用できるという[注1]。今回はEOSにつけるにあたり、eBayにて中国製の安価なアダプターを入手した。中国製アダプターの場合、メーカーによっては製造精度がいまいちなので、購入前に情報を集め、よく検討する必要がある。私が最初に購入したのは青いパッケージが特徴の真鍮製電子マウントアダプターで、40㌦代で購入した。このアダプターは素材が頑丈で磨耗の心配が無く、レンズを取り付けたときのガタツキも全く無かったが、カメラへの装着がきつく、スムーズにはいかなかった。きちんと無限遠のピントが出ているのかどうかも怪しい品であった。次にCOWY07という名の出品者から送料込みの僅か16㌦にて購入したアダプターは赤/白のデザインにLeica /R for EOSと書かれているパッケージが特徴であった。こちらは電子チップのないノーマル仕様。装着がスムーズでオーバーインフ気味の設計であった。頑丈な真鍮製なのでオススメな品だ。
  • [注1]・・・Type-IにNikon用交換マウントを付ける場合には、マウント上に突き出したカムを切除する改造が必要。Type-II以降のモデルの場合にはビスを外してそのまま付け替えができるようだ(絞りのクリック感を生み出す金属小球を失わないように!)。

試写テスト
本品は大変有名なレンズなので、雑誌やWEBサイトでこれまで幾多と無く取り上げられ、描写について絶賛する評価を多く見る。ズミクロンの信者は多い。前評判は以下の通り。

●シャドー(暗部)の階調が潰れにくく、明暗の変化がなだらか。丁寧な階調表現が可能

●開放絞りから実用的なシャープネスを示し、1~2段絞るあたりでシャープネスは最大になる

●くすんだような渋く色濃い、地味な発色に定評がある。時々黄色による癖がある

●コントラストは高くない(高すぎない)

●線が細く緻密で繊細に写る

●開放付近では収差の影響が強く、ボケ味については好みが分かれる。ボケの乱れ方が煩いという悪評もあれば、昼間でも玉ボケがコロコロとハッキリ出るのがたまらなく良いという愛好者もいる。私は後者の立場だ。なお2線ボケもよく出る

●開放絞り付近では口径食がきつい

F2 木更津 日枝神社・右の狛犬 奥の柱に二線ボケが出ている。そして噂どうり玉ボケがコロコロとハッキリ表れている。かなり気に入った。暗部の黒潰れもおきていない

F2 木更津 日枝神社・左の狛犬  絞りは開放なのに大変シャープだ。実物の岩肌の質感がよく再現できている
F2 マザー牧場 開放絞りによるイルミネーションの玉ボケ。周辺部は口径食がきつめだ
F5.6 柿の色の再現性は良好だ。発色が黄色によってしまう癖が出ており、昼間なのに日光が夕方っぽくなってしまった
F2.8 この花は再現が難しい色だ。実際には深い赤紫色をしているが淡いピンクのような色になってしまった。これでも色が濃く出るように露出をアンダー目にしているのだが上手く出ない

F2.8 この花の色はたんぽぽのような明るい軽やかな黄色だが、ズミクロンで撮影すると渋くて濃い独特の黄色になってしまった

F5.6 赤はしっかり濃く出る。上の写真は露出が-2/3 EVの結果で下は-2EVとだいぶアンダーにふった結果
F5.6 最短撮影距離で撮るとこんな感じになる
F2.8 かなりアンダーにしないと、コスモスの色は白っぽくなってしまう。-2EVでようやくちゃんと色が出た。しかし、またもや黄色い発色の発作が出ている

★暗部の粘りについて
 ズミクロンの描写には「暗部での黒潰れが起こりにくく、粘りのあるなだらな階調表現が可能である」という定説がある。つまり描写力のないレンズで撮った際には真っ黒く潰れてしまうような深い色でも、ズミクロンで撮れば潰れずに写るというわけだ。この性質には注意しなければならない落とし穴がある。一般にシングルコーティング仕様の古いレンズで撮影した画像は、コントラストが低く暗部の輝度が浮き気味になり、締まりがない。ズミクロンの粘りは本物なのか、それともただ単に暗部が浮いているだけの幻なのか、その判断は難しい。先の定説に高く評価するだけの意味があるとすれば、深い色の黒潰れが避けられているだけでは不十分である。同時に本来あるべき黒の部分がきちんと黒く描写され、暗部の締まりが保たれていることを検証する必要がある。そこで、ズミクロンの階調表現について、もう少しテストを続けてみた。(近日中に追加)

 ズミクロンRにはボケ方や発色に独特の癖があり、万人受けするレンズではないという前評判を今回のテストで確認することができた。文字道理に受けとめれば、このレンズは「癖玉」ということになる。しかし、ズミクロンは世界の標準レンズを語るうえで無くてはならない銘玉とされ崇拝されている。発売当時は圧倒的なシャープネスで世界中のカメラマンを驚かせた。現在も独特のくすんだような渋い発色はこのレンズならではの描写といわれている。これらの点を「独特」という名の線で結ぶと、ズミクロンの個性的な描写がこのレンズの癖によって生み出されているという大胆な観点に至る。私がズミクロンに触れてみたかったのは、このレンズの個性的な発色に何か秘密があるのではないかと感じたからだ。使い方によっては毒も良薬になる。そんな根拠のない仮説を今でも胸にしまい、このレンズをどう使いこなせばホームランが打てるのか模索している。ようするに癖玉と銘玉は紙一重ということを示す手がかりを得たいのだが、私のような新参者にはまだまだ真価を見せてはくれない。どうやら、もう少し時間をかけて付き合う必要がありそうだ。

撮影環境 Leitz SUMMICRON-R 50/2 + EOS Kiss x3 + LeicaR-EOS mount adaptar


2009/10/09

Kilfitt-Makro-Kilar Model-E(APO) 40mm/F2.8 (M42)

マクロキラーは今日のマクロレンズの原型となるレンズである。鋭くシャープな解像感、濃厚でクッキリとした発色、軽くて小さな美しいボディが魅力。熱狂的なファンがいる

マクロレンズの始祖玉
「マクロの殺し屋」ではございません

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倍率の大きい特殊なレンズを用いて花や虫など小さな被写体を大きく拡大する撮影方法をマクロ撮影という。いわば顕微鏡をカメラ用のレンズで実現するようなものだ。今回とりあげるのはマクロ撮影用レンズ(マクロレンズ)の始祖として名高いキルフィット社のマクロキラー40mm。このレンズは1955年に発表され、世界初の一眼レフカメラ用マクロレンズとして話題を呼んだ製品だ。製作者はドイツHöntrop出身のHeinz Kilfittで、彼の名はRobotという名の個性的なデザインのスパイ用カメラをデザインしたことでも知られている。Heinz Kilfittは1941年にドイツ・ミュンヘンの小さい工場を買収し、光学・精密機器の生産を始めた。1947年に欧州の小国リヒテンシュタインで会社を創設すると、レンズの生産やカメラの生産を行うようになった。その後、会社はミュンヘンに移転するが1966年に米国のズーマー社に身売りし、キルフィット自身は一線から身を引いている。マクロキラーには幾つかのバリエーションが存在し、初期のリヒテンシュタイン製、これとはデザインが若干異なるドイツ・ミュンヘン製、米国ズーマー社製のマクロズーマター銘がある。今回入手したマクロキラー40mmはリヒテンシュタインで製造されたもので、前玉枠の銘板には当初の社名「Kamerabau-Anstalt-Vaduz」のロゴが入っている。
焦点距離/開放絞り値:40mm/F2.8, 最短撮影距離:10cm, プリセット絞り(絞り値:2.8-22), プリセット後は無段階での絞り設定となる。マウント部に絞り連動ピンはついていないので、ピン押しタイプのマウントアダプターを用いる必要性はない。フィルター径:29.5mm, 重量(実測値):144g, 本品はリヒテンシュタイン製でM42マウント用(純正)の仕様。
マクロキラーには2つのラインナップが存在する。撮影倍率が1/2でシングルヘリコイド仕様のモデルEと、等倍でダブルヘリコイド仕様のモデルDである。撮影倍率が大きい程、より小さな物がより大きく撮影できることになる [注1]。モデルEとモデルDの差異はヘリコイドの繰り出し長のみであり光学系は同一、シャープな写りに定評のあるテッサー型の設計である。モデルDにはエクステンションチューブ(接写リング)が1つ余分に内臓されていると考えればよいのだろう。対応マウントはM42以外にエキザクタ、アルパ、コンタレックス、レクタフレックスがある。これらの対応マウントをM42用に変更できる交換改造マウントが存在し、これを用いた改造品が中古市場に多く流通している。
回転ヘリコイドを最大まで繰り出したところ。本品はType-Eなのでシングルヘリコイド仕様だが、Type-Dの場合はヘリコイドが2段構造(ダブルヘリコイド)であり鏡胴はさらに延びる。レンズ先端の銘板上にある赤・青・黄色の3色の刻印は本品が高級なアポクロマートレンズであることを印している。アポクロマートとは特殊な材質で作られた3枚のレンズを組み合わせ色収差を補正する仕組み。色滲みが出にくいと言われている
初期のモデルは開放絞り値がF3.5であったが、1958年に設計が見直され、プリセット仕様で開放絞りが明るいF2.8へとモデルチェンジした。前玉の狭い銘板内に刻まれた極小のレンズ名がいかにもマクロレンズらしい雰囲気を出している。本レンズには黒と銀のカラーバリエーションが存在する。美しいデザインで知られるスパイカメラ"ROBOT"の開発者が手掛けただけのことはあり、現代のお洒落なコンパクトデジカメに付いていたとしても何ら違和感が無い。とても50年前のものとは思えない実にモダンなデザインだ。なお、マクロキラーには中望遠の90mmの製品も存在し、こちらは40mmのものよりもだいぶお値段が高い。
  • [注1]・・・撮影倍率とは最短撮影距離で撮影する際に、画像センサーに写る被写体の像の大きさが実際の被写体の何倍の大きさになるのかを表している。例えば撮影倍率が等倍のモデルDならば、画像センサーの横幅と同じ35mmの長さの虫がセンサーの幅にギリギリいっぱいに写る。つまり写真の横幅いっぱいに写るという意味だ(迫力満点だ!)。これに対し倍率1/2のモデルEは少し控えめでセンサーや写真に写る像の大きさは、これらの幅の半分程度となる。
入手の経緯
本品は2009年9月29日にeBayにてドイツの中古レンズ専門業者から落札した。商品の解説は「エクセレントコンディションのマクロキラー。ガラスは少しの吹き傷がある程度で綺麗。絞りとフォーカスリングの動作はパーフェクト」。出品者紹介には二枚目の若いお兄ちゃんの写真が写っている。フィードバックスコア1900件中99.8%のポジティブ評価なので、この出品者を信頼することにした。いつものようにストップウォッチを片手に持ちながら締め切り数秒前に250ユーロを投じたところ、206ユーロ(2.7万円弱)にて落札できた。送料・手数料込みの総額は216ユーロ(2.82万円)である。なお本品のヤフオク相場は3万円前後、海外相場(eBay)は300-400㌦(2.7-3.6万円)。その後、落札から10日が過ぎて商品が届いた。恐る恐る商品を精査すると、中玉端部のコーティング表面に極僅かにヤケがでている。他にもレンズ内にチリがパラパラあり、お約束どうり薄っすらとヘアライン状の吹き傷もある。お世辞にも綺麗とは言えないが、実写に大きな影響はない。返品せず本ブログでのレポート後にオーバーホールに出すことにした。ガラスの不具合が改善しますようにと神社にお参りしておいた。

エクステンションチューブ
撮影倍率が足りないときのために、ドイツのシャハト社製のエクステンションチューブ(接写リング)を購入した。このチューブはM42マウント用レンズに装着できるものだ。エクステンションチューブといっても、単なるスペーサー(要するに筒)であり構造はシンプル。補正レンズなどは一枚も入っていないので、マクロ・テレコンバータとは異なりレンズの光学性能を大きく損ねることはない。エクステンションチューブは地味なデザインのものが多いが、このチューブに限っては大変かっこいいゼブラ柄なので直ぐに目に留まった。eBayでの即決落札価格は15㌦とお手ごろだ。このチューブをポケットから取り出し、レンズとカメラマウント部の間にサッと取り付けると撮影倍率が上がる。被写体を大きく撮りたい時には重宝する。撮影倍率1/2のType-EマクロキラーでもType-D(等倍)を超える撮影倍率を実現できる。
Schacht社製エクステンションチューブ。ゼブラ柄がクラシックレンズによく似合う。3本構成となっており7通りの組み合わせが可能。様々な長さにできる
チューブ1+2を装着すると21.9mmになる。絞り値因子は2.1倍と暗めになる
エクステンションチューブを全て装着した時の様子。なんだか凄い
撮影テスト
エクステンションチューブをポケットに入れ早速ぶらりと試写してみた。本レンズに対する前評判は以下の通り。
  • 開放絞りでは焦点面の結像が若干甘い
  • 絞るとテッサー型らしい鋭いシャープな描写となる
  • 近接撮影時のボケはマクロレンズらしく豪快だが2線ボケがでることがたまにある

    これらに加え、私が試写してみた印象としては、
  • 発色はこってりと濃厚で、しっかりと出る。青が色濃い
  • 色の再現性が高く、難しい中間色であっても実物に近い自然な発色が得られる

    癖の少ない素晴しい描写のようだ。以下、手持ち撮影なので、多少のボケ/ブレは我慢してくださいまし。
F5.6: 被写体本来の色に近い発色だ。これはいいレンズかも・・・胸が高まる
F8: こちらも実物に近い発色である。スバラシイ!

F8 発色は若干こってり目の派手気味だが、再現性は高く好印象だ
F11 赤もたいへん鮮やかに出る
F11 最近接距離まで寄ると、このとうり複眼までバッチリ見える
F11: テッサー型の構造を持つだけありシャープな描写だ 
F4 台風一過の青空。それにしても青が濃すぎないかコレ

写真(上)はレンズ単体による最短距離での撮影結果。絞り値はF8である。写真(下)はSchachtのエクステンションチューブを3本全て用いたときの最短距離での撮影結果(F値は変倍されている)。手持ち撮影なのでピント合わせは絶望的だが、ご覧の通りの高倍率だ。倍率1.5ぐらいは出ているだろうか。この草の実の紫色は難しい中間色だが、実物の色をかなりよく再現しておりスバラシイ。同じ被写体を同時代のツァイスやライカで撮影しても、こううまくは再現できない。例えば描写に定評のあるLeicaのズミクロンR 50/2で撮影した結果が下の写真。淡い赤紫色になってしまう。
Leica Summicron-R 50/2で同じ草の実を撮影した結果。実物よりも淡くなり赤紫色っぽくなってしまう。同じものをZeiss Flektogon 35/2.8で撮ると、もっと白っぽい発色になる
 
 
マクロ撮影専用設計ってそんなに凄いのか?(工事中)
エクステンションチューブを用いれば普通のノーマルレンズでも容易に撮影倍率を上げることができ、マクロ撮影が可能になる。わざわざ高価なマクロ撮影専用レンズを手に入れる必要などないと思う人も多い。しかし、光学系が近接撮影用に設計されているマクロレンズでは、収差の補正が近接撮影時に最大の効果を生むよう最適化されている。つまり、ノーマルレンズにチューブを付けた場合よりも色滲みが少なく、シャープネスが高く、ボケもきれいになるように設計されているというわけ。ただし、ここで問題となるのは、その差が目に見えてわかるほどハッキリとしているか否かであろう。ノーマルレンズに対するマクロレンズのアドバンテージがどれ程なのか実写テストしてみたい。

比較対照を検討中です。マクロチューブをつけるノーマルレンズとして何を採用すればよいのか、いいアイデアがありましたら、ご提案ご教示ください。
撮影環境: Kilfitt-Makro-Kilar (APO) Type-E 40mm/F2.8 (M42-mount) + EOS Kiss x3



マクロキラーは今日のマクロレンズの原型となるレンズである。とても50年前の製品とは思えない美しい鏡胴のデザイン、軽くコンパクトなボディ、高いシャープネスと優れた色再現性など、魅力たっぷりのレンズだ。熱狂的なファンが多いのもよくわかる。こうなったらレンズの状態が良くなりますようにと、もう一度お参りしておこう。

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